「死ぬまで いっしょ」

「どうしよう。死ぬまで一緒だね。」彼が言ってくれた言葉です。高校のクラスメイトだった私たちは、卒業して38年目に再会しました。既婚者同士ですが、とても大切な相手です。

愛の言葉。

先日の、彼と一緒に巡った美術館でのこと。


それぞれ少し離れた場所の展示を見てたら、彼が私のとこへやって来て


「『大学時代はスミレばかり描いてた』」


って言います。


「?。なあに〜?なんのこと?」


って聞いたら、彼の見ていた展示物の所へ連れて行き、作家の書いた説明書きを指し示し、


「ほら、『大学生時代はスミレばかり描いてた』だって。」


そこを見ると


「大学生時代は内股の女の子ばかり描いてた」


との説明書きのタイトルがありました。




私は今でこそ直りましたが、幼少の頃からハタチくらいまで、内股でした。



高校時代、電車とバスを乗り継ぎ通学していました。同じバスに毎朝乗っていた私たちです。

バス停を降りると、私が友だちと前を歩き、その後ろを彼が友だちと歩いて高校まで通いました。

朝、乗り込む時は彼らの方が先にバス停に着いていたので、後ろの席に座り、私たちは立ってたので、バスから降りるのは私たちが先。

だから、彼はいつも私の後ろにいたとのことです。

(私はほとんど覚えてないのですが、、、)


付き合いたての頃、彼から言われました。


「いつもスミレが俺たちの前を歩いてたんだよ。だから、いつも後ろからスミレを見てた。スミレ、内股だったよね。スカートの下から足がこう、伸びててさ。」

懐かしそうな眼差しで言われました。



内股のことを人から言われたのは、家族以外では初めてでした。

ああ、見ててくれたんだなぁ、って胸がいっぱいになったのを覚えてます。




今回、二年ぶりに彼からその話をされ、なんだか涙が出そうでした。



「好き」とか「愛してる」って、その言葉そのものだけから受け取るものじゃないんだな、って心に沁みました。


思い返してみれば、たくさんの「愛の言葉」を彼からもらっていたのです。