「死ぬまで いっしょ」

「どうしよう。死ぬまで一緒だね。」彼が言ってくれた言葉です。高校のクラスメイトだった私たちは、卒業して38年目に再会しました。既婚者同士ですが、とても大切な相手です。

切なさを消してね。

「◯日は直帰だから会えるよ」

と言ってたのに、その日は会議が入ってダメになりました。

ガッカリだけど、仕事だから仕方ない、、、。


その数日後の△日も直帰だからいつもより早めに待ち合わせられるんだけども、私の仕事終わりを考えると、彼を二時間くらい待たせてしまう。


ス「二時間も時間をつぶせるかなあ。大変でしょうから、無理しないでネ。旅行まで待った方がいい?」

って、連絡をしておきました。


アーア、今月はミラクル!なんてウキウキしたばかりでブログにも書いちゃったよ。でも疲れてるのに待たせるのはなあ。でもガンバッテもらいたい気も。

仕方ない!こんな時もあるさ。旅行まで待つかあ。七夕の前夜に会っておいたのは、何かのお告げ⁉︎

などと、あがきと諦めが入り混じった気持ちでした。



数日後ラインがありました。

「△日、〇〇(お店の名前)を予約してみたよー」

「待つ間、お茶でも飲んでるよ」


〇〇とは、二年前に再会してから三回めのデートで行ったお店。個室で初めてkissを交わした場所です。

その日にkissをするって、二人で段取りをして。


今はほど近い所に移転して全く同じではないけれど、思い出深いお店だから、近いうちに訪れたいと願っていたのです。もう、うれしくてうれしくて。


仕事を定時にきっかり終わらせて、電車を乗り継いで、彼の待つカフェもあるブーランジェリーに駆けつけました。





雰囲気のある大好きな街の、和食のお店。

以前は全て個室だったけど、ほとんどなくなってしまって今回はカウンターです。

コースを頼んでくれてたので、一つずつお料理が運ばれてきます。その度に感想を言い合って、あー、こういう人と一緒になってたら人生充実してたなあって、ついつい思ってしまいます。

「お写真は撮ったの?」って聞いてくれて、配置までアドバイスしてくれて〜。




彼「あー、スミレともう二年かあ、、、」

え?そろそろ二周年って、うれしくないの?おめでたい、じゃないの?


なんだか、あーあ、みたいな言い方にびっくりしました。


彼「だって、もう二年経っちゃったんだよ?もうじき60だよ?」



そうなのです。30代40代なら、まだまだこれから。ずっと先があるのです。変わらないお付き合いの可能性がうんとある。

私たちは、もう、カウントダウンが始まる年代なのです。


彼は同年代に比べると若々しく、私もまだシワくちゃじゃないからいい気になってたけど、紛れもない事実なのでしょう。




なんだか、切なくなってしまいました。









お店の人が外に出て見送ってくれて、振り返ってもこっちをまだ見てます。

「見てられると、手をつなげないよね」

なんて彼が言って、私の手には、待ち合わせのお店で買ってくれたパンの袋。


いつものように電車に乗っていつものように乗り換えの駅の改札で、お別れします。

じゃあね、今度は旅行の日ね、って言って、彼は人差し指と中指を唇に当て、その指を返して私の方へ向けたのです。そっとする投げキッスみたいに。


改札を入りエスカレーターに乗って、私も振り返って彼に投げキッス。


なあんだ、私たち、まだまだこれからじゃない!



投げキッスが、切なさを消してくれました。